Riberal Days

リベラル 社員 複合機清掃
2020/08/21
第3回 現場のリアル
知的障がい者の特性
ツイート いいね! 第3回 現場のリアル

最初で最後であると信じたい無計画の集大成

どんな一日になるか未知であった初日を乗り切り、
いよいよここからゴールのない日々が始まります。

知らないとは恐ろしいことで、
【設立初日から実習生を受け入れる】という
前代未聞で且つ無謀で無計画なことをしてしまい、
実習生を受け入れることへの責任感もわからないまま
とにかく思いのまま記入した実習ノート。

本来であれば、実習生を受け入れるには
目的を明確にしなければならないのが大前提。
しかし、考える余裕もなく受け入れてしまったことで、
実習生に対して大変失礼で申し訳ないことをしたと
気づき猛反省しました。

実習生の企業実習は、企業で体験させなければいけないことを伝える機会。
まだ企業にすらなっていない今の状況でも、
「受け入れるだけではいけない」と思い、
せめてもの気持ちで、社員と同じように接し、なんとか実習期間を終えました。

善意で受け入れた実習。
しかし、実習の受け入れとは決して容易いことではないことを痛感し、
結果、学校や実習生に対して申し訳なさと後悔しか残りませんでした。

知的障がい者の特性、そして日本一の中古商品を目指す旅へ

清掃作業を始めてからほどなくして、
「この子は〇〇が得意」
「この子は理解に時間がかかる」
と、徐々に知的障がい者社員それぞれの障害特性を健常者が理解し始めます。

【障害特性によって異なる理解度】
【伝えてもできない】
【教えていないことも勝手に始める】
【指示しても動けない】
【器用と不器用の差】
5名の知的障がい者それぞれの特性に気づきます。

最初は、健常者が何か教えると全員で「わかった!」と答えてくれ、
それを信じ「よし!」と健常者側が勝手に安堵していました。
しかし、翌日になると「知らない!わからない!」と答える知的障がい者社員。
その繰り返しが続き、理解している社員と理解できていない社員がいることを
に気づきはするものの、いつまで経っても変わらない状況...。

暗い森に迷い込んだかのように、歩いても歩いても先が見えず
立ち止まって上を見上げても、空しか見えず、自分たちの居場所がわからない・・・
まさにそのような感覚に陥りました。


「どうしたらいいのだろう・・・」
「困った・・・」

気軽に相談できる人もいません。
どうにか自分たちで解決しなければならない環境下で、
雇用した知的障がい者を路頭に迷わせるわけにはいきません。
自分たちで、前に進んでいかなければなりません。

障害の種類は千差万別。
知的障がい者全員に同じ指導ではうまくいかないと考えた結果、

①わかりやすい言葉で話す
②言いにくいことでもできる限りストレートな表現を使う
③指示は言葉と視覚で行う

知的障がい者と一緒に清掃作業を行っていく上で
正しい磨き方を実際に見せ、直接手をとって一緒に動かして磨き
言葉だけではない表現で伝えることも同時に行いました。
それでも理解できないときももちろんあります。
そのような時は、悪い例を見せて、
なぜそれがダメなのかをきちんと理解させるよう努めました。

苦手な作業も、諦めることなく繰り返し教え、
【できるふり】ではなく【本当にできているか】を見極め、
できるまで知的障がい者に教え続けました。

【キレイ】な商品を生み出さなければいけない中で、
【キレイ】というあいまいな表現では理解できない知的障がい者もいます。

みんなで複合機を磨いて

「日本一の中古商品を創ろう!」

そのように伝えました。

【日本一】の理解が難しい社員には、富士山を例えに出しました。

「みんなで富士山のように【日本一】を目指そう!」

すると知的障がい者も理解することができ、
みんなで日本一の中古商品を創ることを誓いました。

健常者2名と知的障がい者5名で行っていた清掃作業。
しかし、健常者の2名も複合機の正しい磨き方を知りません。
全員が知らない中で行う清掃作業は、当然ですが生産性が上がりません。

そこで、健常者2名は仕事を縦割りにすることに決めます。

上田は、営業や経理など経営全般
佐久間は、知的障がい者の育成全般


それぞれ、自分の担当分野は責任を持ち、
それと同時にお互いの仕事に、口を出さないことを約束します。

しかし、そうは決めたもののお互いのやっていることに
無関心でいられるはずがありません。
健常者が2名しかいない中、
些細なことで小さな衝突を繰り返しつつも
時間が経てば、明日は来る
明日が来れば、知的障がい者と向き合う
そんな毎日が続きました。

ただ、これはほんの序章に過ぎないのです。

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<第1回 現場のリアル>はこちら
<第2回 現場のリアル>はこちら

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