Riberal Days

リベラル社員 社員旅行
2020/10/30
第4回 現場のリアル
健常者の疲弊~転機となった言葉~
ツイート いいね! 第4回 現場のリアル

繰り返す日々、先の見えない日々...

障がい者に作業を教えていると

「注意しても直らない・・・」
「何度教えても覚えてくれない・・・」
「さっきやったばかりなのに・・・」
「わかったと言ったのに・・・」
「昨日できたのに・・・」
「もうそれ終っているのにまた同じことやるの・・・?」

と、同じことの繰り返しが続きます。

果たしてこれでいいのだろうか。
こんなことの繰り返しでよい商品が生まれるのだろうか。
こんなことの繰り返しで知的障がい者が成長できるのだろうか。

「うまくいかない・・・」

と悩みながら過ぎる毎日。
諦めずに知的障がい者に向き合うと心では決めているものの
生産性も育成も結果が伴わないことに、日々募る不安。

そんな不安と闘っているうちに
佐久間が原因不明の高熱を出し
会社を数日間休まざるを得ない状況となりました。
佐久間は、もうひとりの健常者である上田に
申し訳ない気持ちと5名の知的障がい者のことが
心配で休んでいる間も、会社のことが頭から離れません。

佐久間の熱が下がり、出社はしたものの
もちろん状況が変わっているはずはありません。

翌日も、その翌日も思い通りにいかず
何をどうしたらいいかわからず
思い悩み考えた末に、江戸川区就労支援センターに
電話でSOSを出しました。

すると、電話した当日の夕方、江戸川区就労支援センターの
担当者がリベラルへ様子を見に来てくれました。

障がい者雇用に必要なこと、それは・・・

すると、健常者2名の疲弊しきった顔を見るなり
就労支援センターの担当者は

「あなたたちね、障がい者雇用はのんき・根気・元気が大切なのよ!」

そう明るく声をかけてくれました。

「のんき・・・根気・・・元気・・・」

ああ、そうか・・・。
その一言を聞いた瞬間に
今まで続いていた胸の痞えが
スーッと、流れていきました。

あまりに衝撃的な一言に
胸打たれ、心響き、言葉が出ないほどの衝撃とは
このことかと、ただただその言葉を体中で味わい
思わず、天を仰ぎました。

▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼
自分たちに元気はあった。
ただのんきと根気は全然足りなかった。

自分たちのことばかりを考えて
知的障がい者のことを第一に
考えられていなかったのかもしれない。

障がい者を指導するということは
今のままじゃうまくいかなくて当然だ。

言ってくれて良かった。

この言葉を聞けて良かった。
△▲△▲△▲△▲△▲△▲

みんなで歩いてきた道。
方向を見失い、途方に暮れ
立ち尽くしてしまったけれど
突然差し込んだ一筋の眩しい光。
希望が見えた瞬間でした。


「のんき 根気 元気」という言葉から
溢れ出る勇気と希望。

例えうまくいかなくても
「のんき 根気 元気」

失敗があっても、過去のように考えすぎないようになり
障がい者ができなくても、そこで落胆するのではなく

「どうしたら理解してもらえるか」
「どうしたら成長できるか」

知的障がい者が理解できないのは
教える健常者側に問題があった
と自覚しました。

「よし!仕切り直ししよう!」

健常者の目は、はっきりと先を見据えています。
この出来事が、健常者の障がい者雇用に対する考え方に
大きな変化をもたらせた、最初のターニングポイントとなりました。

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<第5回 現場のリアル>はこちら

リベラル 佐久間

当時を振り返ると、生き急いでいたなあと思いますね。結果を早く求めすぎていたなと。今だったらわかるんです。「そんな簡単にうまくいくわけないじゃん。当たり前!」と。そんなにすぐにうまくいったら障がい者雇用に苦労しないですから。どこでも障がい者雇用できちゃいますからね。
「のんき 根気 元気」の言葉を聞くまでは、心身共に疲れ果て、文中にも記載されていますが、原因不明の高熱まででたんです、しかも真夏に。苦笑
高熱の中頭をよぎるのは会社のこと。知的障がい者との作業を上田部長ひとりに任せてしまい、とにかく申し訳ない気持ちで「ごめんなさい」とひたすら布団の中で思っていました。
知的障がい者にも、色々なタイプの障害があることを知りましたね。ただ、この「のんき 根気 元気」を聞いてからは、障がい者に教えるのではなく、障がい者を育てていきたいと思いましたし、障がい者との向き合い方が変わりました。
あとは、できないのは障がい者のせいではなく、教える側の問題であることも自覚しました。本当の意味で、障がい者ファーストでいこうと決意した瞬間でもあります。忘れられないですね、あの日は。
当時お世話になった江戸川区の就労支援センターの担当者の方には、今もお世話になっているのですが、本当に御礼や感謝を伝えても伝えきれません。ですから、障がい者を雇用し続け、障がい者の仕事ぶりを世の中へ伝えていくのが、私たちのできる恩返しだと思っています。

Special Contents 現場のリアル 合言葉は「のんき 根気 元気」  ~戦力として活躍する障がい者たち~