広報担当者が行く!地域密着型B型事業所!

さやかな光


リベラルのお客様である合同会社さやかな光さんが運営する「はな工房」さん。
横浜の中区に佇むかわいいお菓子屋さんです。
街との繋がりを大切にしている代表の呂さん。
どのような経験から今の仕事に就いたか、
どのような方との出会いがあったか、
とても興味深いお話を聞くことができました。

 

呂 様

  呂 翠瑛
(ろ すいえい)

合同会社さやかな光代表
就労継続支援B型事業所「はな工房」
管理者兼サービス管理責任者 

ホームページ:https://sayakanahikari.com/
Instagram   :@hana.koubou



◆はな工房 就労継続支援B型事業所◆
〒231-0846
神奈川県横浜市中区大和町1-22-1
TEL:045-232-4635

障がい者と接し、人生が変わった

広報

今回ホームページコンテンツの第3弾として、合同会社さやかな光 代表の呂翠瑛様から色々なお話を聞かせていただきたいと思います。

弊社の営業マンが、はな工房さんのお菓子をいただいてきたことがあったんです。「是非食べてみてください」とマドレーヌやブールドネージュなどお菓子の詰め合わせをいただいたのですが、本当に美味しくて、こんなにクオリティの高いお菓子を作っている作業所さんに純粋に感動しました。


心を込めてつくられたお菓子、そしてはな工房さんは一気に私のファンに。ひとりでも多くの人にはな工房さんのお菓子を食べてもらいたい!その一心で、取材の申込をさせていただきご多用な中ご快諾いただき、実現しました。

今日はよろしくお願いします。まずは呂さんのプロフィールをお聞かせください。

翠瑛(ろ すいえい)です。横浜市の中区生まれで、中華街で生まれ育ちました。

親が中華料理店を営んでいたので、食品には興味があり、そんな経緯から、栄養士免許を取得しました。その後、病院で栄養士の仕事を3年
しました。

しかしどこか満足できない日々が続き、自分はお野菜を相手にするよりも、人を相手にする方が自分に向いていると思い、栄養士免許と同時に当時取得していた教員に再チャレンジすることにしました。どうしても教育実習で行った特別支援学校での日々が忘れられなかったんです。

広報担当

呂さんが自ら希望して特別支援学校で実習されたのですか?

偶然なんです。

ですから最初は「大丈夫かな」「どうなるかな」という気持ちがありました。

障がい者と接したことがなかったので、どうコミュニケーションをとろうかと必死でしたね。普通の授業はできませんから、感触遊びをやってみようかなと白玉や砂を触る授業をやった時、何となくふと彼らと心を通わせられた瞬間があったのです。

ちょうど運動会もあって一緒に走って、私の心が元気になっていくという経験をしました。今まで生きてきた中でこんな経験したことなかったと思い出し、もう一度教職の勉強をし直して、そこから特別支援学校の教諭を目指して就職しました。

普通学級には全く興味がなくて、特別支援学校と決めていました。特別支援学校の教諭になら私もできるかもしれないと思い、就職したのが私立の特別支援学校でした。

中区にある学校で自分の生まれ育った場所で、園バスも子供時代から見てきました。その学校で17年勤務しました。楽しかったですね、毎日が。パワーをもらえるし、みんなの成長を親御さんと一緒に分かち合いながら進んでいくということがすごく嬉しくて。

小学校・中学校・高等学校とすべて経験して進路指導も5年ほど担当しました。

運命の出会い

進路担当で実習のお願いをするために、事業所をまわっていた時に、素敵な事業所があり「卒業後に、こんな素敵なところに通えるなんて幸せだな」と思いました。もちろんその逆も然り。でも本当に素敵な事業所がたくさんありました。

私の勤務していた学校は20歳で卒業なのですが「この子たちの人生ってこれからが長いんだよな」と考えた時に、学校生活と同じくらい豊かな生活が送れたらいいなと思っていました。もちろんそういった幸せな生活を送れている卒業生もいる一方で、自分に合った就職先を見つけられない卒業生がいることも事実でした。

卒業生たちが自分にあった進路先を見つけられればいいなという思いが常にありました。

今まで生徒に「挑戦しなさい」と言い続けてきたけど、自分はどうなんだろうと振り返った時に、自分のやりたいことに向かって精一杯頑張るということをやってみたいと思い、一念発起で事業所の設立を決意しました。わざわざいばらの道を進むといいますか、新しいことをやることは大変なことですし、勇気が必要でした。

はな工房は、誰にでも合わせられる場所ではないけど、誰かの一番合う場所のひとつになればいいなと思っています。

教員経験しかなく、福祉の立場で今まで障がい者と接したことがなかったので、事業所設立の準備もしながら、まずは放課後デイサービスで福祉の勉強をさせてもらいました。

事業所をスタートすると決めてから色々な人にその話をしていたんです。そうしたらご縁があり、今の大家さんに出会いました。

ご縁は大切ですよね!
やりたいことは言葉に出して伝えることの大切さを実感します。呂さんの行動力もそうですが、明るいお人柄が運や出会いを引き寄せたように感じます。

今の建物の大家さんとの出会いが、大きく運命を変えたと思っています。

「あなた、ここでやりなさい!」そう快く言ってくださったんです。4、5年間は準備期間と考えていたので、驚きの出会いでした。

ただ、大家さんと最初に出会った時、まだ私は教諭をやっていたんです。
大家さんから、「準備が整ったらでいいから」と言っていただき1年も家賃を払えず待っていただく期間がありました。

大家さんが福祉に役立てるために建てた建物で、高齢者と障がい者がつながる場所にしたいという思いで建てているので、その思い(やってほしい側)と私の思い(やりたい側)が一致してその建物を借りられることになりました。

周囲に「やりたい」と言い続けたことが結果このようなかたちになって、色々な場所で言い続けてきてよかったと思いました(笑)

大家さんに借りた物件も中区で、偶然にも勤務していた学校の近くなんです。当初は気まずいかなとも思いましたが、先生方も応援してくださって、卒業生の子も実際に今働いてくれています。現在は、1日平均16名の知的障がい者と精神障がい者が通所しています。

仕事内容はどのようにして決めたのですか?

地域と繋がるためにはお店になっていた方がいいなと考えました。口に運んだ時に「美味しい」となったら幸せですし、みんなで作ったものが口に運ばれて美味しいと感じてもらえたら嬉しいなとそう思ったんです。また足を運びたいと思うお店づくりをしたいとそう思いました。

先にお菓子づくりをされている先輩からは「大変だよ」と言われていましたけど、その通り大変でした。(笑)

 

障害福祉サービス事業とお菓子やさんを両方一度にスタートしてしまったので、こんなに違う内容のことを同時に始めるのってすごく大変でした。人を相手にする仕事をしたいのに、現実は砂糖何グラムと向き合う毎日で対象も異なり、自分が想像していたものとは違っていました。

オープン時、スタッフは4名で利用者は0名。そこから、3名、5名、3か月目には8名と増えていきました。そして何より中区のこの立地と、築5、6年の物件も非常に気に入っています。

かわいらしい建物ですよね。

よく、中で何やっているんだろうっていうような事業所あるじゃないですか。中が薄暗かったり。

うちは、小部屋に分かれていて、朝礼もバラバラにやっています。それでいいのかなと思った時期もあったのですが、今はこの形式にして良かったと思っています。集団が苦手な方や聴覚が過敏な方もいるので、小部屋で小グループにわかれて、その日はその人たちと一緒に作業をしていくのが落ち着けるのではないかなと考えています。

当初は、お菓子作りに専念してみんなでキッチンに入って作業をしていたのですが、少しずつ人数が増えるごとにだんだん仕事が足りなくなってきてしまって。最初は1グループでキッチンに入れたのが、人数が増えて2、3、4とグループが増え、その増えた子たちの仕事を探すのに業務の開拓を日々行っていました。

横浜市は社会福祉協議会が協力してくれるんです。繋いでくれるので、会社を通じてまた仕事を紹介してもらっています。あとはこちらから電話して仕事をもらったり、でももらえないことの方が多いですけどね・・・。利用者さんを置いて、仕事をもらいに会社周りをしている時、本当にこれが正しいのか、自分のやっていることは合っているのかと思ったこともありました。

叶えたいと思っていることは、利用者さんがお客様と交わる場所を作っていきたいということです。カフェが実現できたら、そこでお客様と交流ができて、色々な人が集まっていくそんなコミュニティを作れる事業所になりたいと思っています。

 

新しい仕事開拓に向けて

事業所を立ち上げる前から、展望は「街にしたい」でした。色々な事業所があって、それこそカフェもあってお客さんがイキイキする場所で、みんなが仕事をしつつ、協力しながらここの街を活気づけられたらいいなという思いがあります。

最近、ご高齢の方の生活をサポートするという仕事を始めました。高齢者のお買い物の付き添いや外出を一緒にして、新しいコミュニティも生まれています。

色々と提案してくださる方がいらっしゃるから、「これどぉ?」と話しがきた時、決めるのは自分自身なので、「じゃあやりましょう!」となるわけで。


普通の会社だったら「上司に確認します」となるところを、「うちは「すぐやります」となるので。原則、私が良いと思ったものはすべてやるので、取引している会社さんからは「呂さんそんなすぐ決めちゃって大丈夫!?」なんて心配されたり。(笑)

呂さんが責任者だから、利用者のみなさんもイキイキと働けているんだと思います。呂さんの明るさに助けられている利用者さんが多いと感じます。

リベラルも信念と覚悟をもって取り組んだら、「即行動」が許される環境なので、今回の取材もまさに「即行動」で呂さんに取材の依頼をさせていただいた経緯があります。

ただスタート時の大変さは呂さんの気持ちがわかります。リベラルもみなさんの支えがあって今があるので。

私の役割

知的障がい者と精神障がい者の融合がなかなか難しいなと感じることがあります。ただ、お互いが助け合う瞬間を垣間見た時、「ああいいな」と思うんです。失敗することももちろんあります。そんな時は「私も完璧な人間じゃないからわかってほしい」と話し伝えます。「誰にでも言って弱みも見せた方がお得だよ!(笑)」って。

「人って弱点がない方がいいって考えがちですけど、弱点はあった方が助けやすいからいいんだよ」と伝えています。弱点を助けてあげるよという人は現れるから。

誰でも社会と携われて、誰でももっている力があって、それが社会の役に立てることができるんだと証明していくのが、私の役割だと思っています。陽の光をみんながもっと浴びて、社会を照らしていくような存在にしたいなと思っています。みんな一人ひとりもっているものが素晴らしいので。

話を聞いていると、とても明るい呂さんですが、今まで一番悩んだことってどんなことですか。

厳しいことを言われた時ですね、福祉サービスは、行政への申請が必須で、厳しいヒアリングや面談があってとても大変でした。市役所に行ってうなだれることもありましたし、もっと歓迎されるものだと思ったのに...という気持ちがありました。もうその当時は不安ばかりでしたね。
 

いざ事業を始めると決まったら、急に不安に襲われて。そんな時に助けてくれたのが大家さんでした。「開所するまでは家賃はいらないから」と言ってくださったことにどれだけ助けられたか。実際開所1ヶ月前までは家賃を免除してくださりました。そういった大家さんの親切心から、一方で、もし失敗したらという気持ちが出てきて私がパニックになってしまったんです。その時に、大家さんが「無理でもいいじゃない」と言ってくれたんです。「そんなプレッシャー感じないで、どうせやめるとしてもちょっとでもやってみたら?」と声をかけてくれました。ちょうどその時とても辛い時期だったので、大家さんの言葉にただただ感謝しています。

実際にオープンする時には、だいぶ気持ちが落ち着いて、覚悟も決めてスタートをきれたので、大家さんの存在に背中を押してもらいました。一番側にいてくれる人が励ましてくれて、とても心強かったですね。

最初はとにかく支出が多くて、本当に預金残高がなくなるんじゃないかと思っていましたが、なんか笑っちゃたんですよね。もちろんギリギリ間に合いましたけど、誰も私を責めることなくみんなで笑って乗り越えたといいますか、スタッフも税理士さんもみんなで笑ってましたね。「笑っていればどうにかなるね」なんて言いながら。

これからも大家さんへの感謝の気持ちをわすれずに、笑顔でみんなで笑って進んでいきたいです。

取材を終えて

先にも書きましたが、はな工房さんは弊社のお客様です。弊社の営業マンが、はな工房さんのお菓子をいただき会社へ持ち帰ったことが私とはな工房さんを繋ぐきっかけとなりました。

洋菓子がとにかく美味しく、一気にファンに。その後仕事やプライベートで電話注文することがあり、呂さんと会話を交わすことが増えました。いつも元気で明るく、無理なお願いにも快く「いいですよ!」と答えてくださり、ますますファンになりました。気づけば大ファンになっており、取材をさせていただきたいと思い、オファーをしたところ、快くOKの返事をくださり、非常に嬉しく思っています。

地域密着型の街のかわいいお菓子やさん、お菓子以外にも、機械を使った織物(さをり織り)で商品を作っていたりと、幅広く障がい者のみなさんがご活躍されている姿を見て、呂さんが抱く障がい者の利用者さんに対する思い、大変な時期を乗り越えての今、その【今】をしっかりと目に焼き付けさせていただきました。

大変な時こそ笑ってとおっしゃる呂さんのこの言葉を聞けば、呂さんのお人柄はみなさん想像がつくと思いますが、取材中も絶えない笑顔と笑い声で、明るい取材となりました。ご多用の中、呂さんをはじめ利用者のみなさんの働く姿を見せていただき、「一生懸命働くとは」ということを改めて考えさせられました。販売していたストラップがあまりに可愛く、お土産のプリンとともに購入させていただきました。プリンは言わずもがな、非常に美味しくいただきました。是非みなさんにも食べていただきたいはな工房さんのお菓子、下記で購入できます。

▽▼はな工房▼▽
神奈川県横浜市中区大和町1-22-1
045-232-4635

はな工房 イメージ動画 (youtube.com)

最後に、呂さんもおっしゃっていましたが、障がい者雇用には人の存在が欠かせない。弊社も大変な時期に助けてくださった方々がいらっしゃったから事業活動を続けることができています。障がい者雇用に、人と人との繋がりは欠くことができないと強く感じました。

はな工房さんの益々のご活躍を祈念しております。

このたびは貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。